小さきものを愛おしむ

日々思うこと、好きなもの、いろいろ綴る。

バレリーナの吉田都さんを見て、バレエが好きなのを思い出す。

先日NHKの「あさイチ」にゲスト出演されていたバレリーナ吉田都さん。

もう50歳を越えられたとか、ふぇ〜信じられないくらい美しい。

自分とそんなに違わない年齢なのに、何がどこがこれ程の差を生むのか、愕然とした朝のひと時だった。

私が彼女の踊りを見たのは、テレビのくるみ割り人形が初めてだったかな、その正確で完璧な踊りに加えて、何て豊かな表現をするんだろうと一瞬で引き込まれた。

彼女の踊りを一言で表現するなら、「たおやか」というところか。

彼女の踊りは日本人らしい、とでも言うべきか、日本の伝統芸能の歌舞伎にも通ずる「間」の表現が素晴らしいと私は思う。

歌舞伎では、見栄を切る前の「間」がすごく大切なように思うが(と言って私は歌舞伎を実はあまり知っているわけではないので、違っていたらごめんなさい、でもそんなイメージを持っている。)吉田さんの踊りもそんな「間」を持っている、そしてポーズの決め方がすごく美しい。例えば彼女はもちろん足が180度上がるが、それを160度くらいで抑えて、その20度の往復の0.何秒かの「間」を魅せる、その間に私は惹かれる。そしてそのように控えめでありながら強い印象を与える踊りを見せる、そこがたおやかであると私は思う。

だから、機械のように正確でありながら、もちろん機械にはない表現を見せてくれる。

彼女が所属していたバレエ団か学校だかの偉い方が(めちゃいい加減な覚え方ですみません)彼女の脚は語っている、とか言われていた。確かフェッテの試験か何かで彼女が回るのを見てそう思われたと記憶しているが、まさに私も「そうそう!」と思った。本当にね、脚が音楽や物語を語ってくれるんですよ、彼女の踊りは。

そして、容姿も素敵である。吉田さん自身は、コンプレックスの塊だったとおっしゃっているが、私は大好きである。お顔も可愛らしいけど、何よりその整った体、まるでお人形さんみたいなんだもん。

バレリーナと言えば、だいたいの人が細くて長いという印象ではないだろうか、手を伸ばせば首のところが筋ばるみたいな。

吉田さんは小柄な方だと思うけれど、とても均整が取れていて、そんなに細すぎず、適度にお肉もついていて、でも絶対余計な肉はなくて、ホントにお人形さんだと思ってしまう。一言で言って、「可愛くてかっこいい」理想だなぁ。

 

何を隠そう、私はバレエが大好きだ。子どもの頃から好きで好きで、テレビでバレエがあると張り付いて見ていた。父が弾くピアノに合わせて、母のペチコートを履いて、狭い四畳半の部屋の椅子の間をぬって、とにかくそれらしく踊っていた記憶がある。

 

そんなに好きなら習っていたのか、と聞かれると、これが何とも習えなかったようで。

私は習いたかったと母に訴えるも、「公民館でお稽古があったから連れて行ったけど、絶対いや、と言って入ろうとしなかった。」と言われてしまった。

はて?そうだったかなぁ、、、まぁ私は小さい頃相当頑固だったようで、自分でも何となく覚えてはいるが、言い出したら聞かないところはあったようである。それが災いしてか、小学校で先生にモロ嫌われたり友達からいじめを受けたりもした。それはまた追い追い書いていこう。

 

とにかくそんなに好きなのにバレエに携わることもなく生きていてやっぱりちょっと後悔、うん、人生は後悔の連続だ。

でも一念発起、私が初めてバレエを習ったのが高校生になってから。実は小学校高学年から高校まで、家の方もいろいろ大変になり、習い事どころではなかったのもあったのだけれど。

でも高校に入って初めて宝塚歌劇なるものを見て、すごく衝撃を受け、こんなことはしていられない、私もこういうことがしたかったんだ、と思った。血湧き肉踊るという感じか、長い眠りから覚めたようにバレエ教室を探し回り、やっと初めてバレエを習うこととなる。

 

好きこそ物の上手なれ、元々体もすごく柔らかくて、子どもの頃は軽々ブリッジもできたし開脚もなんのその、うつ伏せから反り返ると足が頭から出せた、のでぐんぐん上達したようだ。一つ、また一つ何かできるようになるのが嬉しくて、電車で30分くらいかかっても、お腹が空いても全然苦にならなかった。先生も目をかけてくれたようで、年賀状に「あなたには期待しています。」と書いてくださりすごく嬉しかった。週1回なのが物足りなくて毎日通いたかった、本当にもっと早く始めていればバレリーナになれたかもと思っていたなぁ。

でも、誰しも通る道、受験というもの。それをバレエと両立させるのが、不器用な私には難しかった、半年休んじゃったんだ、それが縁の切れ目だった。

先生は、すごく残念がってくださった、絶対すぐ来なさいよ、と言ってくださった。

私もそのつもりだったんだけど、大学ってとこに行くとなんやかんやですぐ時は経つんだ。人間って、私って弱いなぁとホント思った。

行かなくなった理由がもう一つ、宝塚もずっと好きで行っていたけれど、それも受験で暫く止めていた。それで、久しぶりに行ってはまり込んだのと、私がファンだった人がトップになったので、そこにも力が入ってしまったのだ。

でもバレエはやっぱり忘れられない、それで、もう一度行きだしたのが1年か2年後だったか、先生は覚えていてくださったが、体がなかなか戻らない。そこで無理をして足の筋を痛めてしまい、心折れてしまった、完全にやめてしまった。

今考えると、まだ若いんだし、ぼちぼちすれば良かったんだな。でも前のようにできないのがすごく嫌だったし、学校も宝塚も忙しくてもういい、と思ってしまった、これもやっぱり後悔だな。

でもねー、やっぱり好きなものは好きなのよ、また10年後くらいに大人のバレエを始め出す。そしてまた今姿勢を改善する体操のようなバレエを無理ないように教えてもらっている。やっぱりバレエの動きや姿勢が好きだし、音楽も好きなんだな。そしてバレエはやり方によっては年齢を重ねてもできるスポーツだと思う。

そういえば少し前からか、大人のバレエとか、流行りだしたよね。本当にね、体幹を鍛えるから、正しくやればすごく良いと思うよ。でもちゃんと教えてもらえなくて自己流にすると絶対体を痛めるから、やろうと思う人は、ちゃんと先生を選んだ方が良いと思う。いろいろ見学もしたけど、残念なことに基礎をしっかり教えていない人もいるなあと思った。

 

そこでまた吉田都さんに戻るけど、彼女は今でもすごく体を鍛えているらしい。バレエの基礎レッスンはもちろん、体幹を整えて強くする運動をしている様子が出ていた。

アスリートや芸術家って、いつまでも探究心を持ち続けるよね、まさに「天職」についた人の定めであり望みなのかな。素晴らしい。

「天職」と言えば、これも以前テレビで熊川哲也さんが、なぜバレエダンサーになったのかという質問に「天職だから。」と即答したのがカッコよかったな。

「好きだから」とか「小さい頃からなりたかった」とか言う人はいるけど、「天職だから」と言えるのがすごいなと、同時に羨ましいとも思った。私の天職ってなんだ?もう遅いわな。