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小さきものを愛おしむ

日々思うこと、好きなもの、いろいろ綴る。

「カルテット」はお洒落で良質なドラマである。

 ドラマは結構好きで毎クール一つは見ている。その中で最後まで見ようと思えるほど面白いのは多くはないが、たまに良質なものに出会えると嬉しい。

今季はTBSの「カルテット」を見ている。これはホント私の中で久々のヒット作である。

大人気だった「逃げ恥」の後で、最初宣伝を見た時は暗いなぁとあまり見る気はしなかったが、役者が達者な人ばかりだったので期待をしたのと、題名にあるように弦楽器が出てくるので見てみようと思った。

見てみると面白い。いや、初めは不思議な会話劇に戸惑い、面白いのか何なのかよくわからなかったが、回を追う毎にだんだんハマってきた。ちょっとしたセリフや設定も、後で「あ〜なるほど!」と思う場面が散りばめられていて目が離せない、役者の巧さにも唸らされる。脚本と演出と役者、この3つが揃うとこんなに面白いものができるんだと感心させられるのがこのドラマだ。

登場人物は主人公が4人、別府、家森の男性二人と真紀、すずめの女性二人でカルテットを組んで演奏している。この4人はいろんなものを抱えていて、出会う経緯なども複雑なものが絡み合っている。それも徐々に明らかになるのだが、明かされてもまだ何か仕込まれている気がして油断できない、そんなドラマである。

実はこのドラマ、視聴率は良くないらしいが、視聴率とドラマの質が比例しないのは普通のことなので気にならない。しかしこんなに面白いのに見ている人が少ないなんてもったいないとは思う。というか、評判は良いとも聞いたので、見る人も増えたかな?

私はドラマ終了後、このドラマのツイッターを見るのも密かに楽しんでいる。皆さんいろいろ見る視点が面白いし、自分が見落としていたものも発見する。なので、これは録画して後でちょっと見返すのがオススメである。先に述べたように脚本も演出もいいのだが、何より役者の演技が巧いんだ。

物語も終盤なので、だいたい登場人物については把握できるのが普通の流れだろうが、この話においては、何かもっと隠されたことがあるのではないだろうかと思ってしまう。実際昨日のラストでは、真紀さんが真紀さんではない、という刑事の発言があった。もう、何が何だかわからない、誰なん?

でもこれ、松たか子だからおぉ〜と納得できるような。ホントこれ、その辺の下手な人たちがやると全然面白くないような気がする。脚本と演出だけ良くてもきっとへぇ、と思うだけだろうな。

松田龍平は人の良い別府さんだが、本当に人が良いだけなんだろうか、いや、人が良いのは疑いがないけれども、と思わせる。普段もきっとこんな人なのかなと思わせるような自然な演技ですごいな、と思う。

高橋一生は拘りが強く一途っぽい家森で、この人結構前から良い演技すると思ってずっと追っている人だが、今回もそのポーカーフェイスがうまく生かされて、クールだけど実は熱いってそこここで感じる。色気もあるなぁ。

満島ひかりは若いのに過去に辛いものを抱えたすずめちゃん。この人本当に巧いね。若くて可愛い役だから、これをアイドルとか持ってこられたら途端に話が薄っぺらくなるところを、ひかりちゃんでホントよかった。すずめちゃんが別府さんを好きな気持ち、真紀さんを好きな気持ちが痛いほど伝わる。

ただ、父親との確執を描いた回での結末は、私はあまり共感できなかった。これはひかりちゃんがどうこうではなく、というか、ここの女性二人の演技はすごく良かったけど(この時の男性二人の情けなさよ、それも良かったけど)。でも、ありがちな脚本ではなかったというところは評価されるのかな、私はここばかりはありがちでも良かったと思う。親子のつながりを、そんな風に描いて欲しくなかったな。

松たか子は巻真紀改め早乙女真紀。元夫のクドカン、元姑のもたいまさことのやり取りとか、見ごたえあるなぁ、その二人も怪しいなぁ。

でもこの真紀さん、すごく闇を抱えてそう、いい人なの?悪いの?松さんのセリフや表情に何かすごく騙されているような気がして、なんか怖いなぁ。とにかく松たか子うますぎる、怖すぎる。

前回の放送見ると、アリスちゃんという癖のある人物を許してあげる優しい真紀さん、という流れに見えるけど、実は真紀さんの方がもっとすごいことしてたりして、なんて考えちゃうよ。

そしてこの4人が結成しているカルテット、偶然出会った(とされる)4人はそれぞれ弦楽器をしているということでカルテットを組んで活動をすることになったわけだが、まあ偶然ではないということはわかったんだけれども、バンドじゃなくてカルテットというところがお洒落だよね、ここにも良質な大人な匂いがする。

そして別府さんの別荘での生活、生活感なくてこれもお洒落。

そしてそれぞれの人物のふとしたセリフ、うーんと唸ってしまったりする。例えば夫と一緒に行くとすずめちゃんに告げる真紀さんのセリフ「抱かれたいの」なんて、セリフもドキッとするけど、それを流すタイミングが良いよね。その場では真紀さんがすずめにただ耳打ちしている場面、それを聞いてすずめは手を離すしかなかった。見る方は「何々、何言ったの?」とドキドキする。そして回想でのそのセリフ。もう、演出すごいお洒落!セリフもお洒落。そして松さんが言うと何かすごく何かあるぞ、って思う。もうこの自分の語彙力の無さよ、すみません。

とにかくこの4人、よく使われる言い方をすると、心のヒダを表現するのがすごくうまい。贅沢なキャスティング、これだけで大人なお洒落なドラマだってわかってしまうところもすごいよね。そしてエンディングがこれまたお洒落で。だって椎名林檎だよ?まーこの歌いい、お洒落。私お洒落ばかり言ってる、でも本当にそうなんだもん。作ったのは林檎だけど歌ってるのは違うなと思ったら、何とこの4人だそうな。松さんの声はよくわかるけど、それにしても上手いなぁ、「アナ雪」の人だものね、当たり前だね。そして4人ともめっちゃお洒落しているこの映像、すごくみんな色っぽくて素敵だ。特にすずめちゃん、昔のハリウッド女優みたいに美しい。そして一生さん、「いっさいがっさい」って歌っている姿にドキッとする色っぽい。龍平さん、もっと行けーって思う。松さん、「大人は秘密を守る」ってなにー、それ何ズルいって思った。とにかくこのエンディング秀逸。

 

さぁそれにしても、これ結末はどうなるのかさっぱりわからない、わからないから面白い、回を追う毎に謎が深くなる。でもこういったサスペンス風なドラマも、最終回でがっかりするものも多いんだけど、なぜかカルテットはどうオチがあっても、何か腑に落ちるような気がする。それだけに、後2回?3回?もうすぐ終わるの寂しいな、これ1年続いても見るよきっと、大河ドラマばりにやっちゃいなよホントに。